桜が咲けば雨も降らない








「よし、人参の皮剥き終わったぜ、リリス。次は何だ?」
「ありがとうございます、ユーリさん! それじゃあ次は……」

 食堂でユーリが食事当番でもないのに、準備を手伝っている。おそらく理由としては今日の当番にフレンが入っているので、彼の代わりに働いているのだろう。正確に言うとユーリの掃除当番と交代した、という感じらしい。まあ妥当と言うかそれが一番誰も傷付かない方法と思われる。
 そしてユーリは渡された次の野菜の皮を慣れた手付きでするすると剥いていき、淀みがない。山になっていた80人分の量はどんどんと減っていき、今日の食堂はスムーズに進みそうだった。


 ところで話は変わるがバンエルティア号の食堂は、昼間の時間帯は自動ドアの電源を切っており常に開けている。それは朝からおやつの時間までの人の出入りが激しい時間帯、開閉が多くいちいち待っていられないという理由だ。朝・昼・おやつは勿論、リリスやロックス達は食事だけでなく各部屋の洗濯等も行っている為、少しでも時間短縮なればとなった。
 なので開けっ放しにしているドアも、誰も気にしない。そこから一房の赤毛がちらちら見えている事も、食堂内の人間は忙しいので気にしている暇が無いのだ。その事に今は感謝しつつ、角度的にこちらは見えて相手からは見えないこの隙間に身を潜めている。

 別に、コソコソしようとしていた訳ではない。ただ単に、足が止まってしまっただけ。食堂の下準備中は船員達も遠慮してあまり入ってこない、他にも単純に依頼に出ている時間帯だというのも大きな原因だ。だから今食堂内はリリス・クレア・ロックス・ユーリと他に今日の食事当番であるカノンノの5人。全員料理に慣れていててきぱきしている為、全て順調に回っている。
 そこへひょいと顔を出し、昼食には早いけれど腹が減ったから何か作れ、とは言い難い。いや別段、言っても構わないのだ。きっとロックスやクレアは笑顔で何か出してくれるだろうし、そもそも船員へ従事する職の者に遠慮なんて馬鹿げている。
 だがそこに、あの黒い男が居るならば話は別だ。きっとまた馬鹿にして、我慢してろと生の人参を口に突っ込んでくるに決まっている。もうあんな間抜けな面は表に出さない、と固く誓っているので許されない。
 しかしお腹は、きゅるきゅると黙ってくれなかった。朝は寝坊してしまい、気が付いたら結構な時間。昼食までどうせ後2時間も無さそうで、ならば昼にまとめて摂ってしまおうと怠けたのが悪かったのだ。空腹は30分も経たずに文句を上げて体は正直者の顔をする、部屋の人間に頼もうとしたが全員依頼に出ているなんて運が悪い。

 なので仕方がなく食堂に来たというのに、ユーリが居るとは予定外だった。今日の彼は掃除当番だからと朝早く起きて待っていたら別人が来て、あれ? と思った後あれやこれやと手伝う事になってしまい、疲れて部屋に戻りすぐに二度寝に入ったのだ。そういう事はちゃんと事前に言っておいてもわらないと、予定が狂う!
 ……それにしてもあいつ、早く何処か行かないかな。そうじっとりと恨めしげに見つめ、手元の鮮やかな動きに目を奪われる。剣士で斧だって扱うくせに、ゴツゴツしていない綺麗な指だ。手袋だってしていないくせに、生意気な。以前からかい混じりで頭を撫でられた時、驚きすぎて魂が飛んでいくかと思った。
 下民のくせに、高貴な相手の頭を素手で触れるとは無礼者め。フレンが怒ってすぐに止めなければ、もう少し味わえたのだが……。どうせならば、もうちょっときちんと手の平で撫でて欲しかったかな、なんて思ったりもしなくない。いやどうせならば、言葉も欲しい気がする。贅沢を言えば、そう……褒めてくれたりなんて。
 勿論自分が称賛を浴びる人種なのは分かっているが、まあ一人一人の声をきちんと聞くというのも統治者の役目だろう。ユーリは何と言うだろうか、そう言えば確か武器を新調したいだとか言っていた気がする。ここのショップでもいいがどうせならば街まで出て、バザーを見て回るのはどうか。日用品から武器防具まで、よりどりみどりだ。人混みがすごいかもしれないが、そこはそれ、手を繋ぐハプニングがあったりしてしまうかもしれない。も、もうちょっとばかり希望を言うのならばその後でどこか食事を……。

 そう妄想の彼方へ飛んでいた為、後方からの声にルークは大袈裟に肩を跳ね上げた。

「ルーク、こんな所でどうしたんです?」
「中に入らないのかしら?」
「な、なん、ななな……なんで、なんでもねえよ!?」

 あからさまにどもり、ルークは顔を真っ赤にしながらその場を逃げようとした。敏捷で負けているせいなのか場数の違いか、ジュディスは鼠を捕らえる猫のようにあっさりと襟首を捕まえてしまう。乱暴ではないが有無を言わさない扱いで、ルークを壁に押し付けて取り囲む。足でエントランス側へ行かないように位置取り、にっこりと例の妖しい笑顔で微笑まれた。この手の顔はジェイドで慣れているはずなのだが、慣れているからと言って抗えるかどうかは別問題なのだ。

「そんなあからさまにして、聞いてくれって言っているようなものじゃない?」
「お腹減ったんです? 一緒に入りましょうか」
「ちが、そうだけど違うって……。いやあの、なんだ、ととと統治者として当然の義務をだなっ」

 慌てふためくさまは、先程までの決意を紙くず同然にしている。そんなルークをエステルは不思議そうにきょとんと、ジュディスは面白がっているのだ。まずい、エステルだけならばともかくジュディスは絶対にまずい。そう頭の中でアラームが鳴り響く、がどう頑張っても逃げ出せそうにないのが現実。
 汗をだらだらかきかながら、ルークは適当にマシンガンで喋ってこの場を脱しようとした。まあいつものアレだ、アレ風にアレ的な事を言っておけば大概皆呆れるか怒ってどこか行く。今回もそれを狙ってある事ない事わあわあ言っておいた。

「ああああの大罪人が変な料理作らないかどうか、おおお俺が見張ってやってんだよ! あいつすぐにムニエルだとかキノコのホイル焼きだとか作りやがってろくなもん出しゃしねーし食わねーと絶対席立たせてくれねーしほんとマジ舐めんなっつーんだよそもそも料理作るつもりなら食う奴の好みに合わせるのが当然だよな!? なのにあいつ俺の嫌いなモンばっかり出しやがって文句言いたいんだけど食ってみるとまあ全然食えないって訳でもないから本当に仕方がなく食ってやってんだけどでもそれならもっと美味いモン作れよって事で見張ってんだよ、分かるだろ!?」
「あなた、早口すごいわね。ちゃんと聞き取れるし、感心するわ」
「つまりルークは、ユーリと仲良くしたいんです?」
「なんでだよ!? ぜ、ぜ、ぜ、全然そんな事言ってなかっただろっ!?」
「あら? 私もそうとしか聞こえなかったのだけれど」

 ルークの苦労をあっさり無視して、エステルがずばり言う。そんな事一欠片も言っていなかったのに、どうしてそんな結論になるのか。……図星だったので、余計に狼狽えたが。

「だってこの前からユーリの事、ずっと見てましたでしょう? それに以前ユーリが食事当番だった時もルーク、今みたいに食堂前に居たじゃないですか」
「え、う、あ、ちが、たまたまでっ……!」
「彼が掃除当番の時も、ぶちぶち文句を言いながら偶然通りかかって一緒にお掃除するんですってね? うふふ……偶然も続けば、必然ってものかしら」
「そういうの、運命って言うんですよね! ロマンチックです」
「ろろろろまんちっくぅ〜!? ば、ばから、ばからしい、ばからしいふっざけんにゃ! 気持ち悪いわ!」
「そこまで必死だと、どこまで出来るのか見てみたいわね」

 やばいこの女サドだ! 紛うことなくジェイドと同じ人種だと察して、ルークはジュディスの足を飛び越えこの場を逃げ出そうとした。が、長い足が不意に上がってルークは蹴躓く。ごろりと廊下を転がったが、起き上がり逃げ出そう……とする前にざっくりと、ルークの白裾に槍が突き刺さった。

「ねえ、正直に言ってみたらどうかしら? 大丈夫、言いふらしたりからかおうなんて絶対にしないわ。私達の事、信用してほしいの」
「かかかか顔が怖ぇんだよ!」
「仲良くなりたいって気持ちは良い事です! 私もお手伝いします!」
「ちが、俺はそんな……!」
「そんな顔して言ってちゃ、説得力なんて皆無よ? さあ言って楽になりたいと思わない?」

 ジュディスが面白そうに、エステルが真剣に。二人の顔が迫って逃げられない。というかジュディスは既に脅迫の域に入っていると思うのだが、彼女特有の妖しさからやんわりと真綿で首を締められているかのようだ。
 蛇に睨まれた蛙、ルークは自分の立ち位置をそんな風に変換する。おかしい、自分はライマ国王位後継者のはずなのに、このギルドに入ってから権威が役に立った覚えがない。国元ならばルークの言葉を無視する人間もからかう相手も居なかったと言うのに、ここでは大半はいはい分かった分かったとあやすような響きで躱されている。

 ぶっちゃけて言うとルークは押しに弱かった。今まで散々自分が押していた分、押される事に慣れていない。なのでナタリアには逆らえた試しがない、因みに言っておくがそれは双子共々合わせての話なので勘違いしないように。
 そしてルークはジェイドやジュディスのような、話を聞いているくせに分かって躱すタイプが総じて苦手なのだ。何でも知ってます、みたいな顔をしてルークを遙か高みで嘲笑っているのである、被害妄想だと自覚しているがそう見えるのだからしょうがない。

 逃げられない、逃げても逃げても猛禽類のような瞳で睨みつけられがぶりとやられてしまうのだ。ルークは自棄糞半分諦め半分で、渋々と本音を口にし始めた。

「す、……す、す、す……スキュラソード……あぶね!」

 ガツッ! とジュディスは槍の柄を傾け、ルークの顔真横の壁に当て突く。これは壁ドンもとい槍ドン、全く広まりそうにないロマンチックさ。朱色の髪を僅か巻き込んで、完全に縫い止められてしまった。
 目線をすすす、と他所にやればジト目で追い掛けられる。その迫力は流石、圧力合わせればアドリビトムの上位に行くのではないだろうか。そして昔からルークは他人にも自分にも、辛抱強くない。諦めて今度は自棄糞100%で叫んだ。

「す、……きだよ、仲良くしたいよ悪いのかよ! 笑いたきゃ笑え馬鹿野郎!!」

 誰にも言わずにいようと思っていたのに、よりにもよってユーリの仲間達に知られてしまうとは。ああもうこれで終わった、地味にちょろちょろ後ろ姿を見ているだけの日々よさようなら、後ろ指を指され影でクスクス笑われる日々よこんにちわ。
 だがエステルは突然がしりと両手を掴み、そんな事ありません! と力強く言った。きらきらと輝く瞳は純粋で、彼女の綺麗な心根をそのまま映している。それがある意味ジュディスやジェイドよりも圧力があるような……。

「ユーリはちょっとぶっきらぼうな所はありますけど、とっても優しくて面倒見の良い人です。嫌いな相手でも困っている人を放っておけるはずありません!」
「え……俺やっぱり嫌われてんの」

 正直で純粋だからこそ、そのダメージは大きい。分かっていた事ではあるが、いざユーリの仲間から言われるとルークのグラスハートは粉々に割れそうだ、というか既に割れた。ショックで体が固まりじんわり目頭が熱くなっていくのを遮って、ジュディスがそんな訳ないでしょう、と優しく告げる。

「確かに彼は相手が誰であろうと結局手を貸しちゃう所はあるけど、でも自分から進んで関わろうとする事はそうないのよ?」
「けどよ……」
「トラブルの方が彼を大好きだから、ユーリから足を踏み込む必要が無いの。だから彼からちょっかい出されるって事は……、つまりそういう事」
「ど、どういう事なんだ?」
「ど、どういう事なんです?」

 王族揃ってごくりと唾を飲む仕草は、これが作法なのかと疑うくらいそっくりだった。雛のように教えられる事を正直に信じてしまう二人を、ジュディスは微笑ましく感じる。

「それじゃ試してみない、彼が貴方の事をどう思っているのか」
「ええ〜?」

 人の心を試す、と言われるとルークの腰は引けてしまう。罪悪感は勿論の事、どう思われているのか知りたいような知ってトドメを刺されたくないような。予想の上ではどうせ酷い評判だろう、と思うくらいの自覚はある。
 エステルも少し戸惑い、二人揃ってあまり賛成の空気ではない。だがジュディスは逆境こそが面白い、と言わんばかりに強気で押してくる。ゼロスやレイヴンが見れば例え罠でも賛同しそうに妖艶な笑みで。

「大丈夫よ、いつも飄々として隠している本音の端っこをほんの少し教えてもらいたいだ・け」
「確かに、ユーリは自分の事はなんでも自分で決めちゃいますよね。ちょっとくらい私達にも相談してくれたらいいのに……」
「男が女に相談なんて出来ねーだろ?」
「あら、それって私達の事を格下だと思っているって事?」
「い、いやいやいや!? そ、そーじゃなくって……カッコつけてるって、事かな……」
「じゃあますますその格好付けたポーズを崩せばどうなってしまうのか、見てみたいわねぇ」
「ならデザートを取り上げればいいんじゃないですか、きっとユーリ取り乱しますよ」
「エステル、私達はユーリを怒らせたい訳じゃないの……。彼の本音が聞きたいのよ、赤裸々な」
「ユーリの心の闇を、私達が取り除くんですね! 頑張りましょうルーク!」
「ええ、なんかちょっ……。話が変わっていってる気がすんだけどぉ」

 猪突猛進なエステルの手綱を、ジュディスは上手くコントロールしている。彼女の暴走っぷりまで予想に入れるとは、ガルバンゾ仲間恐るべし。ルークはもう今回の件に、自分の意見が入る隙間は無さそうだ……悲しくも分かってしまった。




***

 ようやくルークは意を決して、食堂へ入る。前々からドア前でこっそり窺う事は数あれど、直接前に出た事は初めてだ。ユーリの前へゆっくり歩きながら、心臓が爆発しそうなのを必死で抑えている。
 ジュディスに散々復唱させられカンニングペーパーまで持たされたセリフ一文を、深呼吸した後息を止め10秒、酸素不足で真っ赤になった顔でぶはぁと吐く。そのあまりにも態とらしい仕草に皮剥きの手を止めユーリは顔を上げて、食堂に入ってきた当初から気付かれていただろうに、ようどうした、なんて軽く言う。
 ルークは頭の中でぐるぐる回っている言葉達を、背後で感じる圧力に押されて必死で口にした。

「お、おい大罪人! 依頼にさ、さそ、さささ…誘ってやるから喜びやがれ!」
「はあ?」
「俺に誘われる事をかん……あいてっ!」

 何時もの調子で続けようとすると、ルークの後頭部に何か降ってくる。カツンと地味に痛くてなんだろうと足元を見れば、オレンジグミが落ちていた。なんでこんな所にグミが? そう思っているとユーリから苦笑の返事が。

「悪いけどよ、今日のオレはフレンと交代して食事当番なんだわ。だからまた今度誘ってくれるか」
「そ、……そうか」
「お坊ちゃんだってフレンのアレを食うのは……キツイだろ?」
「あ、まぁ……。ナタリアで慣れてるっちゃ慣れてるけど」
「はは、その代わりオレが特別メニューを出してやるから」
「特別メニュー?」
「お坊ちゃんの好き嫌いを無くそう特別メニューだ」
「ばっきゃろー誰が食うかあああああっ!!」

 そう叫んでルークはドドドドッと食堂を脱した。一瞬期待した自分が馬鹿だった! ユーリはこの前からルークの好き嫌いをティア以上に無くそうと嫌がらせの限りを尽くしてくる。なまじ料理の腕が良いので美味く作れてしまい、そしてユーリ手作りという意味でもルークは涙目で嫌々嬉々として食べているのだ。
 食堂を出たすぐの場所で待機していた二人は一部始終を見ていたらしく、がっくりと項垂れるルークの背中を、よしよしと慰める。

「駄目だ! やっぱ俺嫌われてるんだよおおおおっ! 依頼には断られるし嫌いなモンばっかり作りやがるしいいいいっ!」
「貴方一人の特別メニューなんだけど……。彼ってば思った以上に甲斐甲斐しいのね」
「依頼が断られても、一緒にお手伝いすればいいんです! 行きましょうルーク!」

 エステルが立ち上がり、ルークの腕を引いてついさっき逃げてきた食堂へ舞い戻る。ロックス達はあまり気にしていないのか忙しいのか、ルーク達の不審な行動にあまり口を挟まない。今回ばかりは挟んでくれてもいいのだが、とルークはちょっとだけ思った。

「ユーリ! 私とルークもお手伝いします!」
「ちょ、エステル!」
「まあ、そりゃいいけど。……んじゃ芋の皮剥きやってくれ、数が多いからな」
「はい!」
「マジでかよぉ」

 エステルがやたらとやる気十分なのはいいのだが、ルークは気が重い。何しろ料理なんて、やった事が無いのだ。アドリビトムは当番制だが、ルークは自分の番になるとガイか誰か余分に呼んでやらせている。まさかそのツケがこんな形でやってくるなんて。

 だが自然な流れで、ルークはユーリの横に座る事になった。じゃがいもとナイフを渡されて、怪我するなよ? と微笑まれる。それに頬が熱くなりそうで、ぐるんっと首を反対向けて回避した。
 ドッドッドッと激しい動悸、そうか、今隣同士で座っているのか。これはこれでいいんじゃないか、そんな良かった探しで自分の心臓に薪木をくべる。ここで完璧に芋を剥いてみせればユーリは感心し、少しくらい評価を上げてくれるかもしれない。そして早く終われば、依頼に行けるかも。
 そんな夢をルークは起きながら見て、三人で膨大な量のじゃがいもの皮剥きを始めた。

 ……が、やはり夢は眠らなければ見れないという事を嫌という程思い知らされる。

「あのなルーク、お前の気持ちは十分分かったし有難いんだが……。ちょっと向こうで豆の薄皮でも剥いててくれるか」
「うう、……ちくしょ〜! ちくしょ〜!」
「ファーストエイド! ファーストエイド! ルーク、まだ痛いです?」

 ルークの包丁さばきは散々なもので、芋は半分以上サイズダウンするわ自分の手を真っ赤に染めるわ、碌でもない。あまりやると赤いじゃがいもが大量発生してしまうので、ルークは刃物を使わない作業に移された。

 そして一人離れて、ぽつんとそら豆の薄皮を延々と剥く。寂しくなってユーリとエステルを見てみれば、仲良く二人で和やかに談笑している姿。エステルも同じ王族だが、ギルドに入った当初から様々な日常作業を積極的にやっていたので、ルーク程酷くない。そしてユーリの手際は相変わらず鮮やか。
 黒色とピンクの色合いはなんだか不思議とお似合いに見えて、ルークの手からそら豆がすぽんとすっぽ抜けて壁にぶつかり着地した。








inserted by FC2 system