1〜4

1///ラブラブすぎてキャラ壊れてるYL
2///実は泣き虫なルークを慰めるユーリ
3///ラブラブYLにこき使われるDL傭兵ダイアリー@(キャラ壊れ注意報)
4///ラブラブYLにこき使われるDL傭兵ダイアリーA(キャラ壊れ注意報)




















1///ラブラブすぎてキャラ壊れてるYL
 まずソファに対象Aが座る、深めに掛けて足を少しだけ広げておく。そして次はその膝の上に対象Bを横に座らせるのだ、足と足の間にすっぽりハマるように。対象Bの背中を対象Aが支えるように肩を回して抱きしめ、対象Bの腰をシートベルトのように掴んで引き寄せる。そうすれば対象Bは対象Aに体重を寄せるしかなく、バランスのいい位置を探して自然と頭を対象Aの肩に置くことになるだろう。
 この場合のソファは一人がけでも三人がけでも問題ない、ただ一人がけだと狭っ苦しい分密着し、三人がけならその後倒れこむ事も可能だという利点を明記しておく。

「それで最近、やっとクレスから一本取れるようになってきてな……」
「そりゃすげーな、でも頑張りすぎて怪我しないようにしろよ?」
「大丈夫だって、むしろ調子いいし」
「なんだ、そんな調子いいならもっとオレに構ってくれりゃいいのに」
「ばっ、何言ってんだよ。……ま、毎日一緒に居るだろ……」
「居るだけじゃ足りない……って言ったらどうする?」
「え、う、その……。ど、どうしたらいいんだ?」
「そーだな、んじゃ……キス」
「あああああほか! こ、こんなトコで出来るか!!」
「ここじゃなけりゃいいのか?」
「……まぁその、考えといてやる」
「じゃあ、夜な」
「…………ん」

 依頼で疲れて帰ってきて、体を休めようと部屋に入った途端にこの会話を聞いた、ガルバンゾ騎士団隊長フレン・シーフォ(21)この時の心境を察してやってもらいたい。他国の身分尊い王子と親友が、仲睦まじすぎてぶっ飛んでいるこの状況。
 ……なぜ三人がけソファなのにそんなわざわざ狭苦しく、ユーリの膝にルーク様を乗せているのか。空いた左手同士をお互い恋人繋ぎで絡ませているのか。この部屋のドピンク通り越して息苦しく熱い雰囲気はなんなのか。……一体いつの間にこの二人がここまでの関係になっていたのか、フレンには想像できない事ばかりだ。

「フレン、入らないんです?」
「……エ、エステリーゼ様! いけません、今この部屋はえーと、その……よくありません!!」
「? 何がよくないんです?」
「それはその、……ユーリ、君もいい加減にしないか!!」

「今日の夕食、人参出たら食ってくれよユーリ……」
「そうだなー、じゃあ人参1個でキス1回ならいいぜ」
「……キ、キスだけでいいか?」
「もちろん、それ以上も大歓迎だ」
「……よ、夜な」
「ああ、……夜にな」

「フレンー? 廊下に何時までもいるのは通行の迷惑になってしまいます」
「ハ、ハイ! もう暫くお待ちを……ってユーリィィ!!」

「先に頬に一つくれよ」
「しょーがねぇな……ったく」




























2///隠れ泣き虫なルークを慰めるユーリ
「ぶえええああああああっ」
「あー、ハイハイ。ほらチーンしろ、息出来無くなるぞ」
「ばっであっずがああああああ〜!」
「うお! 鼻水が髪に! だから鼻かめって!」
「あっじゅのあぼおおおおおおおおおっ!!」
「分かった、分かったから……もう好きなだけ泣け……」

 チャットが英雄アイフリードから受け継いだというバンエルティア号は、持ち主本人ですら知らない秘密の場所が数多く存在する。ここはそんな倉庫の一部屋、数百年前の空気と装飾品が場を占めていた。そこに場違いな空気を持ち込んでいる人物は二人、ユーリ・ローウェルとルーク・フォン・ファブレ。普段犬猿の仲だとギルド内で認識されている二人は、この部屋でだけは違う。

 涙も鼻水も涎も何もかも形振り構わず泣き喚いているルークを、やれやれと言った体で慰めているユーリ。際限無く顔中から溢れる水分を、窒息しないよう出る先からタオルで拭ってやっている姿は手馴れていた。それもそうだろう、こうやってユーリがルークの泣き顔の世話をし始めたのは1ヶ月程前から。3日に1日はルークはこの部屋で泣いているのだから、その度にタオルを手に取るユーリの動作は堂にも入る。

「うううぐ、ひっぐ……。ふぐううぅ」
「ほれ、水。……お前顔真っ赤」
「うるせぇ、……ずびぃっ」

 水分補給に水筒もバッチリ用意しているのに、礼の言葉も無しだ。こんな所だけは普段通りなのだから扱いにくい、幼児のように泣いていたのだから態度も幼児のように可愛気があればいいのに。しかしそんな可愛気のあるルークというものを想像しようとして、ユーリは結局出来なかった。少なくともこうやって素直に受け取るだけでも可愛い方か、と諦めるしかない。
 ルークは顔から首まで真っ赤にさせて、首にかかる上着の白襟を際立たせている。ひっくひっくとしゃくりあげて、喉仏も活発だ。しかしこれでは息も苦しいだろう、ユーリは上着の第一ボタンを外してタオルで包んだ氷のうを当ててやった。

「じべだい……」
「我慢しろ、お前まだ鼻詰まってる。ちゃんとかめ」
「わぁってる……」

 ち〜〜〜ん! と豪快に鼻をかんで現れた鼻頭は皮が剥けて真っ赤だ。棚から塗り薬を出して、ぺとぺと塗ってやる。ルークはうー、と不満そうに目頭に皺を寄せて唸っているが、手を振り払う様子は無い。この塗り薬も綺麗なタオルも氷のうも、少しずつユーリが持ち込んで充実させた物達だ。水だけは毎回この部屋に入る前に用意して持って入っている、次は鼻水で髪を汚さないように髪留めも置かなければならないかもしれない。

 何故自分がこんな世話を甲斐甲斐しくしているのか、ユーリ自身にも説明できない。ただ普段バンエルティア号内でふんぞり返っているルークが、この部屋でだけは子供のように泣き叫んでいる事実。元々先客はあちらだ、後から利用している自分が空気を読むのは仕方ないか。だがこれでは空気というよりただの……いや、これ以上は無意味なので考えるのは止めた。
 どちらにしろ見つけてしまったのだから、無視して無かった事にするのは出来そうにない。未だに何故こうも泣いているのか理由の端すら聞いていないが、泣く最中に上げる言葉の端々で何となく想像は付く。取り敢えずこの船の壁の厚さに感謝するかどうか、微妙な所だろう。

 仕方ないか……。そう言い訳しながら今日もルークの世話をするユーリの、何をどう仕方がないのかを答えてくれる存在はいなかった。




























3///ラブラブYLにこき使われるDL傭兵ダイアリー@(キャラ壊れ注意報)
どうもこんにちは、わたくし傭兵をやってます「ぱぴぷぺぽ」と言います。そこ、笑わないでください傷付きます。こんな名前ですが自分、別世界のルミナシアで世界を3周程救ってますから。ただしがないレア用DL(どこまでも愛すレア・るんるん)傭兵ですので、名前なんて適当なもんですよ。実際名前なんていくらでも変更できましたし。けれど装備している物はちょっとばかり自慢できますよ? レア率120を保ちながら、スロット増・ドロップ増・詠唱短縮率と全て高水準! ビショップという職業上、攻撃力も支援力もどんと来いなのです。素晴らしいでしょう? お陰様で色んな世界へ引っ張りだこで、忙しい限り。ですがちょっとばかり忙しないのも嫌になってきたのでここらでちょっと一つの世界に居座ろうかなと決めた世界が、とんでもない世界だったのです。
いえ、言い直します。別に世界はとんでもなくありません。この世界のディセンダーはまだ1週目らしいので、私としても先輩顔で見守っている訳です。他のみんなも私の元の世界のみんなと同じように元気にやっていて私嬉しい! とか思っていたのが罠だったんですよ。

「はぁ……」
「ダイダルウェーブ!」

戦闘中だと言うのに、私の隣でうっとりため息を吐いているのがルークさん。唱えた上級晶術で、魔物達はあっさり殲滅完了。あなた前衛なのに何やってるんですか、こういう時レベルMAXな自分の強さが嫌になってしまいます。レベル250の詠唱短縮ビショップとか、一人居れば他に攻撃職要りませんからねぶっちゃけ。とか言ってる合間に、またまた戦闘突入です。そしてやっぱり私の横から動かないルークさん、見つめる先には一人で囮を引き受けているユーリさんの姿が。
別に私、ユーリさんに同情しません。だってそもそもルークさんをここに置いているのがあの人ですし、一人カッコつけてボコられている訳ですよ。ルークさんはただのアイテム係ですね、さっきからミラクルグミばっかり投げてますけど。……あの人TP減ってませんからレモングミにしてくださいよ勿体無い。なんでそんな作戦を取っているのかって? さぁ……それは直接聞いてください、返ってくるのはお花畑だと思いますけどね。

「はぁ……」
「ルークさん、パイングミください」
「はぁ……、ユーリかっこいい……」
「オレンジグミでもいいですからください」
「はぁ……なんであんなにかっこいいんだむかつくな……」

むかつくんですか、どうでもいいからグミを……。いくら待っても貰えそうにないので、道具袋を奪って自分で食べました。なんなんでしょうねこの人、私の世界のルークさんはこんなんじゃありませんでしたよ。金持ちのおぼっちゃんで良い感じに床ペロさせて実力の世界というものを思い知らせたくなるような人だったのに、潤んだ瞳でウリボアとローボアにボコボコにされているユーリさんを見つめているこのルークさんは一体何を間違ってこうなっているのか。

結構な世界を旅して慣れたと思っていましたけど、故郷が恋しいって気持ちはちゃんとあったみたいです。懐かしい顔を見たいなと思っても帰りのゲートは閉じているので、次の傭兵がやってくるまではこの世界に居るしかないのです悲しいことに。




























4///ラブラブYLにこき使われるDL傭兵ダイアリーA(キャラ壊れ注意報)
こんにちは引き続きまして、傭兵ビショップの「ぱぴぷぺぽ」です。名前には突っ込まないでいただけると大変助かります、よしなに。さて今日なんですが、また呼び出されました。ユーリさんとルークさんにです、どうして最大4人まで入れられるのに3人PTなんですか? レベルを上げるにしても装備品集めにしても定員いっぱい入れるべきですよ。世界を3周救った私が僭越ながらそう申し出たのですが、素気無く却下されましたおかしい。どうしてですか? と素直に疑問を口にすると、ユーリさんが悪い顔でニヤリと言うのです。

「ルークを独り占めしたいから」

私はいいんですか? と言うと流石に回復は欲しいのと、傭兵はある意味幽霊みたいなものだから、ですって。元ディセンダーナメんなぁ! ってメテオスウォームを撃ちそうになりました。船内なので止めておきましたけど。そりゃDL傭兵は作戦付け替えれませんけど! 酷くありませんか幽霊って!

この世界のユーリさんは、なんだかとっても意地悪です。私の世界のユーリさんはエステルさんに引っ張り回されてフレンさんに叱られてフラフラしている人だったのに、この場合のフラフラはくたびれてのフラフラと適当に躱してのフラフラのダブルスタンダードです。つまり調子のいい人、レイヴンさんとはまた違う意味で。
こうまで違う理由は、どう考えてもルークさんでしょう。この世界のユーリさん、ちょっと執着強すぎて怖い。執着のただ一点がルークさんだけなのがまたどうしようもない、これってアレですよヤンデレに片足突っ込んでますよ。
戦闘にダンジョンだけ行ってればいいのにアイテム補給に街へ行った時の事は思い出したくありません、ユーリさんのあの極悪な顔はきっとルークさんには一生見せないのでしょうね。あーやっぱりどう考えてもヤンデレでした、はい。

この前ユーリさんが一人囮をしたので、今日は絶対自分がやる! とルークさんが言い出すもので、仕方がないので難易度を上げたオルタータ火山でレベル上げと装備品拾いです。ここならダイダルで一発ですし、敵の攻撃量も薄いので大丈夫と判断しました。
さっそく戦闘が始まってルークさんが駆け出し、私は詠唱を開始しました。その隣でニヤニヤしながらルークさんを見ているユーリさんが気持ち悪いですが、私負けません。

「ダイダルウェーブ!」

ざぶざぶと渦が回って終わる頃には地面の敵は殲滅完了、けれど空中のボーボーが一匹残ってしまいました。私は次いでグランドダッシャーを詠唱しようと杖を構えると、横から遮るように手が。

「ユーリさん?」
「1匹くらい大丈夫だから、任せてやってくれねーか」

なんとユーリさんってば、ルークさんの成長の為に……? 私は少しだけ見直しました。この女男野郎が、靴のボタン全部千切って捨ててやろうかとか思ってすみませんでした。そういえば私の世界のユーリさんも、全部やってしまうのでは無くほんの少しだけ手伝いをするというスタンスでしたね。日々の鬱積で大切な事も忘れてしまうなんて、元とは言えディセンダー失格でした。

「あーもう、ルークマジで可愛いわ。特にあの背中の隙間が誘ってるな」

……せっかく上がった私の好感度は、今地に落ちてマイナスになりましたよ。なんですかそのマニアック発言、あなた本当にユーリさんですか? 何か別の物メディアインストールしてません?

空中の小さなボーボーを相手に一生懸命攻撃しているルークさんはぴょこんぴょこん跳ねて、特徴的な白い上着の二股裾をひらひらさせています。ユーリさんの言うとおり、背中の服と肌の三角地帯が悩ましいですねハハッ。
忙しいのが嫌だと言っていた私、超大馬鹿野郎。こんな心身疲れるくらいなら忙しい方がマシでした、ぶっちゃけ私本当に疲れたりしませんし。







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